大腸がんとは
大腸がんは長年に渡って発症者数が増加傾向にあり、がんによる死亡原因としても上位です。早期発見できれば内視鏡による治療でほとんどの場合は完治が期待でき、がん化する可能性のある大腸ポリープを切除することで予防も可能ですが、早期には自覚症状を起こすことが稀であり、進行してから発見されることが多いです。
多くの大腸がんは良性のポリープの一部が時間をかけてがん化し、粘膜表面に発生します。肛門に近いS状結腸や直腸に発生することが多いですが、大腸がんになってからも進行は比較的遅く、徐々に下層へ向かって広がっていき、粘膜や粘膜下層を超えて筋層まで届くと進行がんとなり、いずれ転移を起こします。大腸がんは自覚症状に乏しく、転移を起こすまでほとんど症状を起こさないこともあります。大腸がんの早期発見や前がん病変のポリープ切除には、症状のない段階で大腸カメラ検査を定期的に受ける必要がありますので、リスクに合わせて定期的に大腸カメラ検査を受けることをお勧めしています。
症状
前がん病変の大腸ポリープや早期大腸がんは自覚症状を起こすことがほとんどなく、進行してもはっきりとした症状が出ないまま転移先で生じた症状によって発見されるケースもあります。便潜血検査で陽性になって大腸カメラ検査を受けても大腸がんが発見されるケースはそれほど多くありませんが、30%程度に前がん病変の大腸ポリープが発見されると報告されており、大腸カメラ検査時に切除してしまえば将来の大腸がん予防に役立ちます。健康診断などで便潜血検査陽性を指摘されたら、早めに消化器内科を受診して大腸カメラ検査を受けることが重要です。ただし、便潜血検査は微量出血の有無だけを調べるものであり、便潜血検査陰性でも大腸がんがある可能性があります。
大腸がんが進行すると、腹痛、下痢や便秘、血便、下血、膨満感、吐き気や嘔吐といった症状を起こしますが、こうした症状は他の大腸疾患とも共通しています。疑わしい症状がある場合にはできるだけ速やかに消化器内科を受診しましょう。
原因
動物性脂肪やタンパク質の過剰摂取、食物繊維不足、肥満、遺伝などの要因によって大腸がんの発症リスクは上昇します。実際に食の欧米化が進むに連れて大腸がんの発症者数は増えています。また、大腸粘膜の炎症や潰瘍が長期間続くと大腸がんの発症リスクが高くなりますので、クローン病や潰瘍性大腸炎など慢性的な腸粘膜の炎症を起こす疾患がある場合には、早期発見のために定期的な大腸カメラ検査が不可欠です。
自覚症状がなくてもリスクに合わせて定期的な大腸カメラ検査を受けることで早期発見による完治が期待できますので、前がん病変の大腸ポリープが発生しやすくなる年齢になったら特にリスクが高くない場合も大腸カメラ検査を受けてみることをお勧めしています。当院では熟練した専門医が丁寧に検査を行っており、鎮静剤を使って眠っているような状態で楽に検査を受けていただけますので、安心してご相談ください。
検査
大腸がんの前がん病変である大腸ポリープは、サイズが小さくても取り除くことが可能であるため、大腸カメラ検査で早期発見することが重要です。特に40歳を超えて一度も検査したことがないという方は、健康診断で異常が見つかっていなくても、大腸カメラ検査を受けてみてください。
日帰り大腸ポリープ切除手術
大腸カメラ検査で前がん病変の大腸ポリープが発見された場合、当院ではその場で切除する日帰り手術を行っています。これによって将来の大腸がん予防につなげています。日帰りですので入院の必要はありません。また、検査・治療・予防が一度にでき、食事制限や下剤服用などの事前準備も1回で済みます。検査後にリカバリースペースでしばらくお休みいただきますが、その後は検査結果説明を受けたらご帰宅可能です。ただし1週間程度、食事や運動、長距離移動に関する制限があります。