便秘

便秘とは

腹痛何日も便が出ずおなかの張りなどの不快症状がある、腸管や肛門の狭窄などによって排便が困難になった、便の水分量が減って便が硬く排便しにくい、毎日排便はあるが強くいきんでも少量しか出ず残便感がある、服薬や浣腸をしないと排便できないなどを起こしている状態です。食べてから排便までは平均して24時間程度とされていますが個人差が大きく、数日に1回の排便頻度でも不快症状がなく、快適に排便できてスッキリするといった場合には便秘ではありません。
便秘は食物繊維不足や運動不足といった生活習慣によって生じることが多いため、単なる不調と捉えられてしまうことがありますが、疾患の症状として生じていることもあります。早急な治療が必要な疾患の可能性もありますので、便秘症状が続く場合には消化器内科を受診して原因を確かめることをお勧めしています。病気が原因ではない場合でも、消化器内科であれば便秘のタイプに合わせた効果的な治療が可能です。便秘が続くと痔や大腸疾患などの発症リスクが上昇します。当院の消化器内科では専門医が便秘の治療を行っており、再発予防も視野に入れた治療を行っていますので、便秘が続く場合にはお気軽にご相談ください。

便秘の原因

便秘は主に大腸の病気が原因で生じている器質的便秘と、蠕動運動などの機能に問題があって生じている機能性便秘の2種類に大きく分けられます。機能性便秘はさらに、弛緩性便秘、けいれん性便秘、直腸性便秘に分けられ、それぞれ効果的な治療法が異なります。それ以外にも、全身の病気が原因で生じる便秘、薬の副作用で起こっている便秘などもあります。

機能性便秘

弛緩性便秘

消化管は蠕動運動によって内容物を先に送っていますが、弛緩性便秘では大腸の緊張がゆるんで蠕動運動が低下し、大腸内に便が停滞して生じます。便が大腸に長くとどまっていると水分が吸収され続けて硬くなり、強くいきんでも排便しにくくなって便秘が悪化します。
運動不足、水分摂取量の低下、食物繊維不足、ダイエットなどによる食事量不足、腹筋力の低下など、様々な原因が複雑に関与して生じます。女性に多く、膨満感や残便感を伴い、食欲低下や肌荒れなどを生じることもあります。

けいれん性便秘

大腸が過剰に緊張して生じる便秘で、強くいきんでも硬くてコロコロした小さい便が少量しか出ず、残便感や下腹部痛などを伴います。便秘が解消すると下痢になり、再び便秘を起こすという症状を繰り返すこともあります。過敏性腸症候群の便秘型、混合型はけいれん性便秘に含まれます。消化管の機能は自律神経がコントロールしており、ストレスなどの影響で自律神経のバランスが崩れて大腸の機能不全を起こし、それによって便秘を生じています。

直腸性便秘

肛門に隣接する直腸に便が届くと便意が起こります。直腸性便秘では、直腸に便が届いても便意が起こらずに直腸に便がたまってしまう便秘です。便意があっても排便を我慢することが続くと便意が起こりにくくなって直腸性便秘になります。便意が起こっているのは、最もスムーズに排便ができるタイミングのサインであり、便意がなく直腸に便が停滞していると排便困難になることもあります。切れ痔があって排便時の強い痛みから便意を無意識に我慢して直腸性便秘になり、便秘と切れ痔がお互いに悪化させてしまうこともあります。

器質性便秘

小腸や大腸の疾患によって生じている便秘です。腸閉塞、巨大化して腸管を塞ぐ大腸ポリープや大腸がん、腸管癒着や直腸瘤などによって便秘を生じています。大腸ポリープや大腸がんでは便秘と下痢を繰り返すこともあります。閉塞が起こっている状態で下剤を服用すると腸管に穴が開く穿孔を起こす危険性が高いので注意が必要です。便秘に激しい腹痛、血便、吐き気や嘔吐などを伴う場合は、速やかな救急受診が必要です。

便秘と相関関係がある病気

便が大腸に長くとどまっていると水分が過剰に吸収されてしまい、便が硬くなって排便が困難になります。硬い便を無理に排出しようとすると切れ痔を生じるリスクが高く、切れ痔になると排便時の強い痛みから無意識に便意を我慢してしまい便秘を悪化させ、それによって切れ痔が再度生じるといった悪循環を起こします。切れ痔を繰り返すと傷が線維化や瘢痕化を起こして肛門が狭窄し、さらに便秘も悪化して、最終的には排便できなくなります。
また、便秘で排便が困難になると強くいきむ習慣ができてしまいますが、強いいきみを長時間続けることで、いぼ痔発症や悪化のリスクが上昇します。いぼ痔でも肛門内側にできる内痔核の場合、排便によって出血を生じたり、痔核や直腸粘膜の脱出を起こしたりすることもあります。
便秘は多くの疾患の原因になる可能性がありますので、慢性的に便秘を繰り返している場合は消化器内科を受診してタイプに合わせた治療を受け、しっかり治して再発を予防することが重要です。

検査と診断

便秘の症状やはじまった時期と経過、特にお悩みの症状、治療している病気や服用している薬、ライフスタイルや食習慣などについて問診でしっかり伺います。疾患が疑われる場合には大腸カメラ検査、血液検査、腹部超音波(エコー)検査などを行います。大腸カメラ検査は、大腸粘膜の状態や狭窄・閉塞などの有無を確かめ、病変があった場合には組織を採取して病理検査を行って確定診断します。大腸カメラ検査は早期の大腸がんや前がん病変の大腸ポリープの発見と確定診断が唯一可能な検査であり、検査中に発見した大腸ポリープをその場で切除して将来の大腸がん予防に役立てることもできます。当院では、特殊光など高度な機能を搭載した内視鏡システムを導入し、経験豊富な専門医が質の高い検査を行っており、眠っているような状態で受けられる楽な検査も可能です。

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治療

器質的な問題がある場合には原因疾患の状態に合わせた治療を行います。機能的な問題で生じている場合には、つらい症状を緩和させる薬物療法を行い、同時に食事や運動、排便習慣などを見直して患者様と相談しながら最適な改善方法を見つけていきます。

薬物療法

便秘解消に使われる薬は種類が多く、様々な作用を持ったものがあり、便秘タイプやお悩みになっている症状などにきめ細かく合わせた処方が可能です。同じ作用でも効果の出方が異なるもの、新しい作用を持つものがあり、漢方薬との併用も可能です。治療によって状態は変化しますので、再診時にも丁寧にお話を伺って処方を見直し、いつも最適な処方になるよう心がけています。

生活習慣の見直し

食事内容、食事のとり方、運動習慣を見直し、正しい排便習慣を身に付けることで便秘解消に加え、再発防止にもつながります。特に、朝少し早めに起きて朝食をとり、ゆっくりトイレで過ごす時間をつくる、便意があったらすぐにトイレに行くといった正しい排便習慣を身に付けることは重要です。
当院では、できるだけストレスなく生活習慣の改善に取り組めるよう、患者様と相談しながら効果的な方法を探しています。わからないこと、気になることがありましたら、なんでもお気軽にご質問ください。

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