食道がんは、食道の中央部で多く発生するがんの一種です。食道は多くの食物を胃まで届けることができる消化管の一部ですが、熱い飲み物や食べものを摂取することによって、がんのリスクが高まると言われています。また、食道がんは扁平上皮がんと腺がんの2種類があり、日本人に発症するのは扁平上皮がんが多く、発症場所は口腔から咽頭、食道辺りです。タバコをよく吸う方は食道がんになりやすいのですが、アルコールにも注意が必要です。特にお酒を飲んだ後にすぐ顔が赤くなる方は、扁平上皮がんになる確率が高いことがわかっています。
腺がんは日本人には少なかったがんですが、欧米の食文化が普及したことで近年は増加傾向にあります。
食道に慢性的な炎症があることで、がんになるリスクを高めるため注意が必要です。食道がんは胃がんを併発することもあるため、早期発見が重要ですが、X線検査では発見は困難です。定期的に胃カメラ検査を受けて、早期発見に努めましょう。
検査
早期の食道がんを発見・確定診断できる唯一の検査が胃カメラです。特に、特殊光や画像強調など最新の高度な機能を搭載した内視鏡システムを熟練した専門医が用いて検査を行うことで、通常の胃カメラ検査では発見が困難な平坦で表面変化に乏しい微細な早期食道がんの発見も可能になります。
また、胃カメラ検査では組織の採取ができますので、組織の病理検査を行うことでがんをはじめとした多くの病気の確定診断ができ、速やかに適切な治療へつなげることができます。
当院では、最新の高度な内視鏡システムを導入し、経験豊富な専門医が丁寧な観察を行っています。鎮静剤を使って眠っているような状態で楽に検査を受けていただくことが可能ですので、苦手意識のある方もお気軽にご相談ください。
治療
早期食道がんは、心身への負担が少なく回復の早い内視鏡による治療が可能です。進行している場合には、外科手術、放射線療法、化学療法を単独、あるいは組み合わせた治療が行われます。状態によっては治療によって発声や食事などに影響が及ぶこともあり、治療方針は進行度や状態、患者様の年齢やライフステージなども考慮した上で主治医としっかり話し合って決めることが重要です。
食道がん発生の主な原因は飲酒や喫煙であり、特にお酒に弱い方は高リスクと報告されています。また、逆流性食道炎で食道粘膜の炎症が長期間続くこともリスクになると指摘されています。食道がんは早期発見が特に重要な病気ですので、リスクが高い方は定期的に胃カメラ検査を受け、早期発見につなげましょう。